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パンデミックとBCP

感染症によるパンデミックは、歴史を通じて多くの命と経済に深刻な影響を与えてきました。最近の新型コロナウイルスのパンデミックがその最たる例です。これらのリスクに備えるためには、感染症対策を含むビジネス継続計画(BCP)の策定が不可欠です。


この記事では、過去に発生した感染症、それらの経済への影響、そして企業が行うべき具体的なBCPについて詳しく解説します。


 

目次

 

過去に起きた感染症の歴史

感染症によるパンデミックは、歴史を通じて何度も繰り返されてきました。これに対する対策や予防策は、その都度進化していますが、新たな課題も生まれています。具体的には、マラリアエボラウイルス病を例に、どのようなパンデミックが過去に発生し、それにどのように対処してきたのかを説明します。


近年の感染症 - マラリア

マラリアは、エイズ、結核と並び、世界三大感染症の一つです。特にアフリカや東南アジアでは深刻な問題となっており、2017年には約43万5,000人が死亡、その61%が5歳未満の子どもでした。

治療には抗マラリア薬が使用され、予防には蚊の駆除や蚊帳などが活用されています。しかし、近年薬剤耐性や殺虫剤耐性を持つマラリア原虫と蚊が出現しています。


近年の感染症 - エボラウイルス病

エボラウイルス病もまた、死者を多く出す重大な感染症です。特に2014~16年にかけて西アフリカで発生したアウトブレイクでは、約28,652人が感染し、約11,325人が死亡しました。この感染症は、文化や生活習慣、貧困なども背景に持つため、多角的な対策が求められます。

幸い、エボラウイルス病に対するワクチンが開発されており、その効果が期待されています。しかし、病原体が変異する可能性や、高速な人の移動による新たな感染拡大など、未解決の問題も多いです。


パンデミックがもたらす経済への影響

こうした感染症がもたらすパンデミックは、経済にも大きな影響を与えます。ここでは、新型コロナウイルスによる経済への影響、通称コロナショックを振り返りながら、感染症によるパンデミックが通常の経済危機とどのように異なるのか明らかにしていきましょう。


「コロナショック」の特性とは


需要と供給の停滞

主に金融的な要因によって引き起こされる通常の経済危機は、一般的に供給側よりも需要側に影響が大きい場合が多いですが、パンデミックの場合、その影響は供給面と需要面の両方に及びます。

例えば供給面では、人の移動制限やロックダウンにより、生産活動や物流が停滞し、サプライチェーンも途絶えたことにより、多くに企業が企業活動を停止・縮小せざるを得なくなり、物資の不足が生じました。

需要面では、外出制限や自粛ムードが高まる中で、観光、宿泊、航空、小売など多くの業種で需要が減少したのは記憶に新しいでしょう。


影響の範囲の広さ

通常の経済危機や災害は地域的、もしくは特定の業界に限定されることが多いですが、感染症によるパンデミックの影響は全世界規模であり、感染症がおさまらない限り終息しないことも特徴です。また、全世界的な需給の停滞に伴い、所得・雇用の縮小や、資源や金融市場にも影響を与えます。

例えば米国では、世界金融危機時を越えて1930年代の大恐慌時以来の失業率を記録し、WTIの先物価格については、米国における貯蔵容量逼迫の懸念などから、一時-37.63ドルと史上最安値を記録しました。

さらに、中国でも初めてのマイナス成長となったり、欧州ではGDPが2割減の国も出現するなど、各国の経済に大きな影響を与えました。

加えて、新興・途上国においても経済の停滞が見られるなど、全世界で経済が低迷するという異次元の経済危機に発展していったのです。


感染症によるパンデミックへの企業における事前対策

感染症の脅威に対応するためには、具体的なリスクを事前に想定した対策を進める必要があります。この段階での計画性と備えが、後の対応をスムーズにする基盤を作ります。

ここでは、事業継続力強化計画策定の手引きを参考にヒト」「モノ」「カネ」「情報に分けて見ていきましょう。

 

■ヒトの観点


・感染症予防マニュアルの作成・実行

手洗い、咳エチケット、換気、消毒などの基本的な予防策をマニュアル化し、従業員に周知すします。


・緊急対応マニュアルの作成・実行

感染者発生や学校閉鎖があった場合の対応マニュアルを作成します。例えば、自宅待機の従業員との連絡手段や、欠員を補うサポート体制を整えます。


・労働安全衛生管理と社内講習

適切な労働環境を保ち、感染症に関する社内講習会を定期的に開催します。


・多能工化の促進

感染症発生時に備え、従業員が複数の業務を担えるように研修を行います。

 

■モノの観点


・優先業務と商品の検討

社内で感染者が出た場合に優先すべき業務や商品を事前に決定します。


・備蓄の確保

マスクや消毒液、その他の必要な物資を備蓄します。


・換気設備の設置

換気が十分に行える環境を整えます。


・代替拠点・代替生産の整備

主要な業務が継続できるよう、代替の拠点や生産体制を整えます。

 

■カネの観点


・資金確保

危機時に備え、足りなくなりそうな資金を確保しておきます。


・保険への加入

感染症に特化した保険に加入します。


・公的支援策の確認

政府や自治体からの補助金や助成金について事前に調査します。


・金融機関とのコミュニケーション

金融機関との日常的なコミュニケーションを維持し、必要に応じて保証協会との予約保証を締結します。

 

■情報の観点


・経営管理書類の整備

予算計画や業績予測など、経営に必要な書類を整備します。


・情報共有

感染症に関する最新情報を収集し、従業員と共有します。


・IT/テレワーク環境

在宅勤務が必要な場合に備え、IT環境とテレワークの体制を整えます。


以上のように、ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源の観点から総合的に考慮することが重要です。


感染症対策も含めたBCP策定を始めよう

感染症によるパンデミックは予測不可能なものも多く、その影響は全世界規模で広がる可能性があります。このような不確実な状況下でも、企業が持続可能な形で業績を維持し、従業員と顧客を守るためには、継続的な改善とアップデートが必要です。


感染症対策も含めたビジネス継続計画(BCP)をしっかりと策定し、それを頻繁に見直して更新することが、未来の不確実性に備える最も確実な手段です。


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