兵庫県の防災については、1995年に発生した「阪神・淡路大震災」を抜きには語ることはできないでしょう。
災害による大きな被害を経験した兵庫県は、その教訓から防災に関する施設が豊富に設置されています。
今回はそんな兵庫県の防災に関する情報を特集します。
目次
兵庫県広域防災センター
兵庫県では、阪神・淡路大震災を教訓に、広域防災拠点を県内6か所に整備しました。
各防災拠点は、救援物資や救助資機材等の備蓄機能、災害時における県内外からの救援物資の集積・配送機能及び災害応急活動要員の駐屯・宿営機能を備えています。
この6か所の拠点の中核となっているのが、「三木全県広域防災拠点」です。
三木全県広域防災拠点は、全県域をカバーする総合的な機能と、東播磨地域、神戸地域及び阪神北地域の広域防災拠点の両方の機能を併せ持っています。
三木全県広域防災拠点は学習・訓練ゾーン(県立広域防災センター)と防災公園ゾーン(県立三木総合防災公園)で構成されており、平常時には防災人材の育成拠点及びスポーツ・レクリエーションの拠点として機能し、災害時には県全体の広域 防災拠点としての役割を担います。
学習・訓練ゾーン(県立広域防災センター)
学習・訓練ゾーン(県立広域防災センター)では、県民への防災研修や、防災知識について学べる「ひょうご防災リーダー講座」が開催されています。また、消防職員や消防団員の教育訓練を行う兵庫県消防学校や、国内最大級の規模を誇るガレキ救助訓練施設も備えています。
■学習・訓練ゾーン(県立広域防災センター)体験メニュー
・地震体験
・煙避難体験
・消火器取扱体験
・屋内・屋外消火栓取扱体験
・簡易救出器具取扱体験
・消防関係車両見学
・備蓄倉庫見学
これらの防災体験学習は県民なら無料で受けることができますが、事前予約が必要です。以下HPから空き状況を確認の上、申し込みをしましょう。
防災公園ゾーン(県立三木総合防災公園)
防災公園ゾーン(県立三木総合防災公園)は、平時では一流アスリートから親子連れまで多くの人々が楽しめるスポーツ・レクリエーション拠点となっています。
陸上競技場、野球場、球技場、テニスコート、グラウンドゴルフ場などのスポーツ施設があります。
同時に、救援物資・救助資機材の備蓄拠点の役割も担っています。
例えば、陸上競技場のスタンド下に備蓄倉庫(5,000㎡)が整備されており、食料、毛布、仮設テントなどの救援物資、人命救助システムや発電機などの救助資機材を保管されています。
阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
人と防災未来センターは、阪神・淡路大震災の経験と教訓を後世に伝えることで、防災・減災の世界的拠点となることを目的に創設された防災学習施設です。
国と兵庫県の協働により2002年に設置され、2022年で開設20周年を迎えました。
人と防災未来センターは、西館と東館の2つの展示ゾーンに分かれています。
西館では、震災の記録や被災者の声、防災・減災の取り組みなどを紹介する展示があります。
東館では、自然現象や災害情報、避難行動などを体験できる展示があります。
公式HPでは館内の様子をVRで見られるようになっているので、気になる方はぜひチェックしてみましょう。
西館展示ゾーン
・防災・減災 体験フロア(2階)
世界で今起こっている自然災害を学ぶ「災害情報ステーション」や、実験やゲームを通して防災・減災に関する実践的な知識を学ぶ「防災・減災ワークショップ」、防災に関する様々な企画展示を行う「防災未来ギャラリー」などの体験ができます。
・震災の記憶フロア(3階)
震災関係資料を提供者の体験談とともに展示する「記憶の壁」や、ビデオで震災体験を紹介したり、語り部が自らの体験を語る「語り部コーナー」、震災直後からの復興過程における事象や教訓等を4つのテーマに分けて解説する「震災学習テーブル」が体験できます。
・震災追体験フロア(4階)
地震破壊のすさまじさを迫力ある大型映像と音響で体感する「1.17シアター」や、震災直後のまち並みをジオラマ模型でリアルに再現した「震災直後のまち」、復興に至るまでのまちと人を新たな課題とともにドラマで紹介する「大震災ホール」などがあります。
・資料室(5階)
震災や防災に関する資料の収集・保存・公開を行う施設で、資料室内の検索端末やウェブサイト上で検索することができます。
また、震災や防災関係の資料に関する相談も行っています。
東館展示ゾーン
・こころのシアター(1階)
オリジナル映像作品「にげよう-大切な命を守るために-(語り:下野紘)」を上映しています。
災害に遭遇したとき、自らの命を守ることができるのか、そのためにはどうすべきかを問いかけます。
・BOSAIサイエンスフィールド(3階)
地球上で起こる自然現象と人々の生活が交わることで自然災害が発生することを学ぶ「ディザスターウォール」や、自然現象のメカニズムを学び、それが自然災害とどのように結びつくのかを体験する「ジオ&スカイホール」、地震や津波、風水害の現場を360°広がるVR映像と音声で体験する「ハザードVRポート」、リアルに再現された住居やコンビニで自ら状況を判断して避難行動につなげるためのトレーニングを行う「ミッションルーム」、災害時の様々な場面を体験できる映像空間でクイズに答え、命を守る最善の行動力を身につける「クエスチョンキューブ」、防災・減災に関する最新の知識を学び、今後の取り組みや決意をメッセージとして残す「ディスカバリーラウンジ」があります。
北淡震災記念公園
北淡震災記念公園は、淡路島の西海岸にある公園です。
阪神・淡路大震災で隆起した震源にもっとも近い活断層「野島断層」を保存展示することにより、震災の記憶を風化させず、自然の脅威を通じて防災の意識を高めることを目的として、1998年にオープンしました。
・野島断層保存館
地表に現れた地震断層のずれをありのままに保存している施設で、地震破壊のすさまじさや地震のメカニズムを学ぶことができます。
また、阪神・淡路大震災の揺れを再現した揺れ体験車に乗り地震の恐ろしさを実感できるコーナーや、防災に関するクイズやゲーム、実験などを通して防災の知識や技能を学べます。
・その他の施設
公園内には野島断層保存館以外にも、阪神・淡路大震災で被災した建物や橋梁などの遺構や、淡路島の特産品などのお土産品を販売する売店、淡路島の食材を使った料理を提供するレストランといった施設もあります。
震災の記憶を風化させない
日本の災害史に残る「阪神・淡路大震災」を経験した兵庫県には、日本有数の防災施設を数多く備えています。
さらに、被災時の記憶を後世に残すための学習施設も充実しており、震災で得た教訓を未来に伝えなくてはいけないという姿勢を強く感じます。
震災の記憶を時間とともに風化させるのではなく、私たち個人も意識的に振り返ることで、日ごろの防災意識の高まりにつながるはずです。
お近くの方や兵庫県に訪れる予定のある方は、ぜひこうした施設に足を運んでみてください。
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