関西の中心地である大阪府は、東京都と神奈川県に次ぐ日本第三位の人口を持つ大都市です。
その土地面積は東京都を上回り、人口密度はそれに比べて少ないですが、多くの地域が海面よりも低いため、さまざまな災害リスクを内包しています。
そうしたリスクを抱えているからこそ、大阪府ではさまざまな防災施設を備え、府民にむけて開放することで府民の防災意識向上に積極的に取り組んでいます。
今回は、大阪府がどのような施設を設け、どのような教育を通じて府民の防災意識を高めているのかをご紹介します。
目次
・堺市総合防災センター
あべのタスカル 大阪市立阿倍野防災センター
大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」では、1995年に発生した阪神・淡路大震災の教訓や今後発生が危惧される東南海・南海地震など様々な災害に備えて広く防災に対する知識と技術を総合的な体験を通して学習できる施設です。
大阪市立阿倍野防災センター「あべのタスカル」は、大阪市にある体験型の防災学習施設です。あべのタスカルは、1995年に発生した阪神・淡路大地震を教訓に、関西でも東南海・南海地震の発生が危惧される中、市民の防災知識と技術を総合的に学習できるように建てられました。「あべのタスカル」という名前には、「助かる」人となり、「助ける」人になってほしいという消防局の願いが込められています。
あべのタスカルでは、地震や津波、火災などの災害に対する減災や避難、救助、救護などの方法を体験することができます。また、おおさか防災情報ステーションやタスカルシアターなどの施設もあります。
体験コースは、専任スタッフが案内するツアー形式で、内容により2時間から30分の7コースがあります。体験コースの一覧は以下のとおりです(2023年6月時点の情報)。
•Aコース:全体体験(2時間)
•Bコース:減災・避難・救助・救護(1時間30分)
•Cコース:減災・避難・救助(1時間)
•Dコース:減災・避難(30分)
•Eコース:救助・救護(30分)
•Fコース:消火・煙中避難(30分)
•Gコース:キッズしょうぼうパーク(30分)
体験コースは事前に予約すると待たずに体験できます。
最新の技術を取り入れたリアルで臨場感のある体験ができ、親子で楽しみながら防災を学ぶことができると人気の施設です。
津波・高潮ステーション
「津波・高潮ステーション」は、かつて大阪を襲った高潮や、近い将来に大阪を襲うと言われている南海トラフ巨大地震、津波についての正しい知識の習得と、地震や津波発生時の対応を学ぶことができる広く開かれた施設です。
津波・高潮ステーションは、大阪府西大阪治水事務所が所管する防潮堤や水門の津波・高潮防ぎょ施設の一元管理を行う「防災棟」と、府民の防災意識の向上を目的とした「展示棟」を併せ持っており、津波や高潮の発生を気象庁からの警報や注意報、沖合の観測施設の観測データ等を収集し、収集した情報を海岸の利用者や関係機関等にいち早く伝達したり、水門や陸閘などの海岸保全施設を遠隔操作することにより迅速に津波や高潮に備えたりする役割も担っています。
津波・高潮ステーションでは、以下のことができます。
•大阪のまちが海面より低いことや、高潮や津波による危険性を学ぶ。
•高潮防災施設の役割やしくみを知る。
•水防団の活動や119番通報の要領を学ぶ。
•ダイナキューブという映像シアターで津波の恐ろしさを体感。
•津波災害から命を守るための知識や行動の確認。
•企画展やイベント、ワークショップなどへの参加。
•津波・高潮防ぎょ施設の一元管理を行う防災棟の見学。
入館は無料で、火曜日と土曜日以外は10時から16時まで開館しています(2023年6月時点の情報)。
堺市総合防災センター
「堺市総合防災センター」は2022年4月に大阪府堺市でオープンしたばかりの防災施設です。水害時における水圧ドア体験、倒壊模擬家屋を用いた実践的な救出救助体験、また避難所生活体験など様々な災害体験設備で防災に関する知識を身に付けることができます。
堺市総合防災センターには、以下のような施設があります。
防災啓発施設 | 地震や津波などの災害に備えることを学べる体験型の防災学習施設。 |
総合訓練棟 | 消防隊が実火災訓練や煙中・熱気訓練、各種救助訓練などを行う施設。 |
救助訓練棟 | ロープ渡過やはしご登はんなどの基本的な救助技術訓練を行う施設。 |
水難救助訓練棟 | 水難救助訓練を行う施設。 |
災害活動支援棟 | 食糧・生活必需品などの備蓄機能や支援物資の集積・配送機能があり消防隊が24時間常駐する施設。 |
屋外訓練場 | 放水訓練や消防車運転技能訓練、消防団の操法訓練などを行う施設。 |
堺市総合防災センターは、市民の方々にも開放されており、入場は無料です。体験コースや見学の予約は、堺市消防局のホームページからできます。ここでは体験コースの一部をご紹介します(2023年6月時点の情報)。
真・体験コース | 映像による災害学習、地震体験、消火体験、煙暗闇避難体験、応急救護体験などを行うコース。 |
災害種別コース | 水害、火災、救出救助、避難所生活の4つの災害種別に応じた体験を行うコース。 |
要支援者避難コース | 障がいをお持ちで避難に不安がある方におすすめのコースです。地震体験や煙暗闇避難体験などを行います。 |
団体コース | 一般団体コース、学校団体コース、キッズ団体コースの3つのコースがあります。それぞれ対象者や内容が異なります。 |
キッズコース | 未就学児をお連れのグループにお勧めのコースです。地震体験や防災情報コーナー学習などを行います。 |
防災に関する様々な体験を通して、災害に備えることを学べるプログラムになっています。
大阪府の防災施設と地域力向上への取り組みに学ぼう
大阪府では、南海トラフ巨大地震や上町断層帯地震等の大災害の発生が懸念されるなか、自助・共助・公助の連携によって地域の防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを推進するため、さまざまな防災施設を整備しています。防災施設は、消防職員や消防団員の訓練施設としてだけでなく、市民の方々に自助、共助の大切さを理解し、防災を総合的に学んでいただける体験型の防災学習施設としても活用できる施設となっています。
さまざまな施設を通して府民に防災に対する知識と技術を学んでもらい、府民の防災意識や防災力を高めることで、大災害に備えようとしていることが分かりますね。
いつ、どこで発生するか分からない災害に対して、こうした施設を活用して自ら対策を学ぶことで、いざというときの行動が変わります。お近くの方は是非一度施設を訪れてみてください。大阪府民以外の方も、自身の地域で同様の施設がないか、探してみることをおすすめします。
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