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介護事業者のBCP対策

更新日:2023年8月17日

2021年施行の「令和3年度介護報酬の改定における改定事項について」では、2024年から介護業でのBCP計画策定が義務付けられました。策定の期限があと1年にせまっており、各社の準備が急がれるところです。

今回は、厚生労働省老健局「業務継続ガイドライン」より重要ポイントを上げてみまし

た。


 

目次

 


そもそもなぜ介護事業者にBCPが必要なの?

介護業は、要介護者、家族などの生活をサポートするために欠かせないサービスを提供するため、他の業種に比べてサービス提供の維持・継続の必要性がとても高い業種といえます。


BCP(事業継続計画)の目的は、

①事業を中断させないこと

②中断した場合にできる限り早く復旧させること

にありますが、介護事業者もこの2つが強く求められているのです。


昨今の新型コロナウイルス感染症拡大においても感染対策物資が足りなくなるといったニュースが記憶に新しいですが、こうした事態に備えて平時から備蓄したり準備したりするためにも、BCP(業務継続計画)の作成が重要なのです。



介護サービス事業者に求められる役割

サービスの継続

介護事業者は、利用者の健康・身体・生命を守るための必要不可欠な責任を担っているため、自然災害時にも施設での業務を継続するために準備をすることが必要です。


利用者の安全確保

介護事業者は体力が弱い高齢者等に対するサービス提供を行うため、「利用者の安全を確保する」ことが最大の役割であり重要となります。

職員の安全確保

自然災害発生時や復旧において業務継続を図ることは、長時間勤務や精神的打撃など職員の労働環境が過酷にあることが懸念されます。したがって、労働契約法第 5 条(使用者の安全配慮義務)の観点からも、職員の過重労働やメンタルヘルス対応への適切な措置を講じることが使用者の責務となります。


地域への貢献

介護事業者の社会福祉施設としての公共性を鑑みると、施設が無事であることを前提に、施設がもつ機能を活かして被災時に地域へ貢献することも重要な役割となります。



BCP(事業継続計画)の作成のポイント

事業所の種類別におけるBCPの考え方の違いを理解しよう


介護事業所は、施設系、通所系、訪問系など、提供する介護サービスによって種類が分かれますが、すべての事業所に共通するポイントと、事業所の種類ごとに考え方が異なるポイントがあります。

例えば、入所施設の場合は被災時に最低限のサービスを提供し続けられるよう、自力でサービスを提供する場合と他へ避難する場合の双方について事前の検討や準備を進める必要がある一方、通所・訪問施設の場合は極力業務を継続できるよう努めたり、業務の縮小や事業所の閉鎖を余儀なくされる場合でも、利用者への影響を極力抑えるよう事前の検討を進めたりすることが求められます。




厚生労働省老健局「業務継続ガイドライン」より



自然災害と感染症のBCPにおける考え方の違いを理解しよう


介護事業者においては、災害の種類によって考え方を変える必要があります。

例えば事業継続方針においては、自然災害ではできる限り事業を継続させること、また早期に復旧させることが求められますが、感染症拡大時には、感染リスクや社会的責任を勘案して、事業継続のレベルを決める必要があります。


また自然災害では施設や設備、社会インフラが被害の対象になりますが、感染症拡大時には人への健康被害が被害の対象になります。よって、事業継続の観点では主に職員をどのように調整するか、職員が足りないときにどの業務を優先するかがカギになります。


被害の制御の観点でも、自然災害と感染症では異なります。前者は被害をコントロールすることは不可能ですが、後者は感染防止策である程度の制御が可能なので、感染防止策が何よりも重要です。



感染症発生時のBCP作成のポイント


感染症発生時のBCPは、感染防止マニュアルとは異なり、体制の整備・業務の調整、人員の確保など環境を整えるための方法や、万が一感染者が発生した際の情報共有・発信方法等を決めましょう。

また、限られた職員でサービス提供を継続するために、職員の出勤状況に応じて対応できるよう、業務の優先順位を整理しておく必要もあります。



自然災害のBCP作成のポイント


自然災害のBCPは、以下のステップに沿って作成・運用することが推奨されています。


STEP1:体制の整備…正確な情報集約と判断ができる体制を構築する

STEP2:自施設の理解と被害の想定…自施設の特徴やリスクを把握し、災害の種類や規模に

応じた被害を想定する

STEP3:災害時の対応内容を周知徹底…インフラ停止や職員不足などの状況下でも利用者の

生命維持のための最低限の業務を「優先業務」として選定し、周知する

STEP4:PDCAサイクル実践…作成したBCPの内容に関する研修や訓練、定期的な見直しを

行う


平常時・緊急時の対応をそれぞれ詳しく洗い出し、「今何をすべきか」「被災時にどう行動すべきか」が誰でもはっきり分かるようにしておきます。

さらに、他施設や地域との連携についても事前に準備しておく必要があります。



どうやって策定すればいいの?BCP策定の手順を紹介!


ここからは、BCP策定の手順をご紹介していきます。


①BCPガイドラインを参考にする

厚生労働省が公開している「介護施設・事業所における事業継続ガイドライン」では、感染症発生時・自然災害時のBCPのポイントや、事業所(入所系・通所系・訪問系)ごとのポイントが分かりやすくまとめられています。


②BCPのひな形を活用する

上記ページでは各BCPのひな形が無料でダウンロードできるようになっており、ひな形を埋めていけばBCPが完成する仕組みになっています。経営者や推進メンバーと相談しながら作成しましょう。

BCPを一からすべて作成するのは大変な手間なので、こうした資料を有効活用することで時間短縮になります。



命に直結する介護サービスを継続的に提供するためにできること

BCP策定が義務化に伴い、2024年度以降、BCPが策定されていない場合に行政の指導が入ることが予想されます。利用者や職員の安全を守るためにも、ガイドラインやひな形を活用して、今すぐBCP策定に取り組みましょう。




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