BCP(事業継続計画)の重要性は認識しているものの、そのハードルの高さや難しさに躊躇している方におすすめしたいのが、自治体が公開している簡易版のBCP策定シートを活用する方法です。この記事では、BCP策定シートの利用方法を紹介し、BCP策定への道のりをスムーズに進めるお手伝いをします。
目次
大阪府では、最低限必要な項目に絞った「超簡易版BCP『これだけは!』シート(主に自然災害対策版)」を作成し、リニューアルして活用を促しています。
背景には、中小企業のBCP策定率の低さがあります。中小企業庁の2019年度版「中小企業白書」によると、BCPを策定している中小企業は全体の16.9%に過ぎず、特に従業員規模が小さい企業ほど策定率が低いとされています。主な理由は、人手不足や取り組むハードルの高さです。
簡易版シートを作ることで、BCP策定に手が回せない中小企業でも気軽に策定を始めてもらうことを狙いにしています。
【大阪府】簡易版BCPシートの使い方
簡易版BCPシートは、A3サイズの用紙1枚に記入するだけで完成し、40分から1時間程度でBCP策定が可能になります。シートには、事業継続方針や目標、BCPの発動条件、組織体制、発災時の出社・帰宅体制、減災対策、復旧までのプロセスなど、BCP策定において最低限決めておくべき項目がピックアップされています。また、従業者BCP携行カードも用意されており、意識の共有化や携行が可能です。大阪府が制作した策定方法動画がYoutubeにも公開されているので、ぜひ参考にしてください。
東京都大田区では、地域や産業の特性を考慮し、中小企業・小規模事業者が気軽に取り組める「大田区簡易版BCPシート」を作成しています。これにより、地域内の事業者が自身の状況に合ったBCPを策定でき、より効果的な対策が可能となります。
【大田区】簡易版BCPシートの使い方
大田区が公開する簡易版BCPシートには「災害編」「感染症編」の2種類があるため、自社のリスクに合わせて選べます。あとはA3判1枚のシートに記載されている項目に沿って、段階ごとに取るべき対応を整理して記入し、規模が小さい事業者でも手軽に取り組めるようになっています。最後に、最も重要度の高い業務から順番に考慮し、事業継続計画を策定します。このプロセスを通じて、日頃の業務の棚卸しも行うことができます。
千葉県船橋市でも、市内中小企業のBCP策定を促進する目的で、「船橋版簡易BCP策定シート」と「船橋版簡易BCP策定手引き」を公開しています。これらの活用を通じて、市内の中小企業や小規模事業者がBCPへの取り組みの第一歩を踏み出すことが期待されています。
【船橋市】簡易版BCPシートの使い方
船橋版簡易BCP策定シートは、BCP策定の第一歩として作成された簡易版ひな形です。「船橋版簡易BCP策定手引き」を参考に、要点を絞った項目に答えていけばひな形が完成します。記入例もあるので、分からなければそちらも参考にしましょう。
より詳細なBCPを策定する場合は、中小企業庁のホームページに掲載されている BCP策定指針の初級編・中級編等のひな形等を参照するのが良いでしょう。
自治体の簡易版BCP策定シートを活用しよう
非常事態の被害を受けやすい経営基盤が脆弱な中小企業・小規模事業者にとって、BCP策定は非常に重要ですが、ハードルが高くなかなか策定が進まない現状があります。
2024年4月から介護事業者に対するBCP義務化が始まることも踏まえ、中小企業におけるBCP策定の重要性は年々高まっています。
だからこそ、自治体が公開している簡易版シートを活用して備えることが重要です。簡易版シートを用いることで、中小企業・小規模事業者も手軽にBCP策定に取り組むことができ、有事の際に事業を継続できるようになります。
ぜひ、「簡易版BCP策定シート」を活用して策定の第一歩を踏み出しましょう!
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